物理とルールの数値は、出典ページを2026年11月5日に確認したものです。計算例・ポケットの許容幅・成功率の線は、編集部が簡単なモデルで出した目安です。台で実際に測った値ではありません。
ビリヤードのコンビネーションの狙い方は?まず「撞くか」を決める
コンビネーションショットとは(ビリヤードの基本)
ゴーストボールを2回使う狙い方
- 第2的球とポケットの中心を結ぶ線を思い浮かべます。
- その線の延長上、第2的球のすぐ後ろに架空の球(ゴーストボール①)を置きます。
- 第1的球がゴーストボール①の位置まで進む線を引き、第1的球の後ろにゴーストボール②を置きます。
- 手球をゴーストボール②へ送ります。速さはミディアムが基本です。
- 撞いたら、第2的球がどちらへ外れたかを見て覚えておきます。
狙う前に見る3つの目安
| 目安 | 狙いやすい条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 球の近さ | 球間とポケットまでの距離が、後の計算例②の表で✕にならない範囲(例:球間30cm以内でポケットまで30cm程度) | 編集部の計算(ポケット許容幅±3cmと仮定) |
| 隙間と向き | 隙間が約6〜13mmで、第2的球がポケット中心へ一直線 | Dr. Dave Pool Info(Billiards Digest 2018年8月号の記事がもと) |
| 自分の成功率 | 同じ配置で20回中7回以上(約1/3)入る | 編集部の判断目安(後半のドリルで測ります) |
コンビネーションショットはなぜ外れる?誤差が広がる仕組み

1°のズレは60cm先で約1cm
計算例①:ズレがそのまま続くと仮定した場合
- ズレ(cm)≈ 角度誤差(°)× 0.0175 ×(球間距離 + 第2的球からポケットまでの距離)
| 球間距離/ポケットまで | 30cm | 60cm | 90cm |
|---|---|---|---|
| 1cm | 0.54 | 1.07 | 1.59 |
| 10cm | 0.70 | 1.23 | 1.75 |
| 30cm | 1.05 | 1.58 | 2.10 |
| 60cm | 1.58 | 2.10 | 2.63 |
| 球間距離/ポケットまで | 30cm | 60cm | 90cm |
|---|---|---|---|
| 1cm | 1.09 | 2.14 | ✕ 3.19 |
| 10cm | 1.40 | 2.45 | ✕ 3.50 |
| 30cm | 2.10 | ✕ 3.15 | ✕ 4.20 |
| 60cm | ✕ 3.15 | ✕ 4.20 | ✕ 5.25 |
計算例②:球同士の衝突でズレが広がる場合
- 第1的球の横ズレ ≈ 角度誤差(ラジアン)× 球間距離
- 第2的球の向きの変化(ラジアン)≈ 横ズレ ÷ 球の直径(約5.7cm)
- ポケットでのズレ ≈ 向きの変化 × 第2的球からポケットまでの距離
| 球間距離/ポケットまで | 30cm | 60cm | 90cm |
|---|---|---|---|
| 1cm | 0.09 | 0.18 | 0.27 |
| 10cm | 0.92 | 1.83 | 2.75 |
| 30cm | 2.75 | ✕ 5.50 | ✕ 8.25 |
| 60cm | ✕ 5.50 | ✕ 10.99 | ✕ 16.49 |
計算例①②は、どちらも条件を単純にした目安です。実際の台では、ポケットの形や入る角度、スロー、球の回転で許容幅が変わります。自分の台での入り方は、後半のドリルで確かめてください。
スロー:球同士の摩擦でまっすぐ進まない
原因別の見分け方:外れた方向でわかること
- カット方向:当たった点から押し出される向き。厚みで決まる向きです。
- スロー方向:第1的球が進んでいた向き。摩擦で引っぱられる向きです。
| 症状 | 考えられる原因 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 隙間が約1cmより広い配置で、毎回同じカット方向へ外れる | 隙間によるずれ(3/8インチ超はスピードに関係なくカット方向へずれる:Dr. Dave) | 狙いを少し反対側へ寄せて、入り方が変わるか試す |
| 左右ばらばらに外れる | 第1的球の厚みのばらつき(撞点・ストローク) | 同じ配置で20回撞き、左右の外れの数を数える |
| くっついた2球で、第1的球の進む向きへ外れる | スローの可能性 | 撞くスピードを変えて、外れ方が変わるか比べる |
| 第2的球に薄くしか当たらない | 球間が遠く、角度のズレが広がった | 計算例②の表で配置を確かめる |
| 第2的球は入るのに手球も落ちる | 手球の行き先を決めずに撞いた | 撞く前に手球の止まる位置を決める |
「隙間が広いとカット方向へずれる」のは、厚みが正しくても起きる物理的なずれです。ミスと決めつけず、狙いで補正する対象と考えてください。
具体的な解決方法:ビリヤードのコンビのコツと判定チャート
撞くかを決める判定チャート(ナインボール用)
- Q1:手球を最初に、台の上で最小番号の球へ当てられますか?
- いいえ → このコンビは撞けません(WPAルール3.2のファウルになります)。普通に最小番号の球を撞くか、セーフティを選ぶへ。
- はい → Q2へ
- Q2:球間の隙間は約6〜13mmで、第2的球がポケット中心へ一直線ですか?
- はい → 3/4より厚く当てれば入りやすい配置です(Dr. Dave)。手球の行き先だけ確かめて撞く。
- いいえ → Q3へ
- Q3:球間とポケットまでの距離は、計算例②の表で✕にならない範囲ですか?
- いいえ → 普通に最小番号の球を撞く(入れにくいならセーフティを選ぶ)
- はい → Q4へ
- Q4:この配置の実測成功率は1/3以上ですか?
- Q5:外したとき、相手に簡単な配置が残りませんか?(セーフティを兼ねられるか)
| Q5:相手に簡単な配置が残らない | Q5:簡単な配置が残る | |
|---|---|---|
| Q4:成功率1/3以上 | 撞く | 普通に最小番号の球を撞く(無理ならセーフティを選ぶ) |
| Q4:成功率1/3未満 | セーフティ兼用で撞く | セーフティを選ぶ |
「成功率1/3」は、この記事で決めた判断の目安です。公式な基準ではありません。試合の点差や相手の腕前によって、ちょうどいい線は変わります。
ビリヤードのコンビのコツ:撞き方の4点
- 速さはミディアム:強く撞くと厚みがぶれやすく、手球の行き先も読みにくくなります。
- 最後の視線は第1的球の当てる点:第2的球ではなく、第1的球の厚みだけに集中するのがコツです。
- 一直線の近い配置は厚めに当てる:Dr. Dave Pool Infoによると、隙間が1/4〜1/2インチ(約6〜13mm)でポケット中心へ一直線なら、第1→第2的球の当たりが3/4より厚いとき、どの速さでも第2的球が入ります。
- 手球の行き先を先に決める:第2的球が入っても、手球が落ちればファウルです(WPAルール3.1)。
20球の自己較正ドリル記録シート
| 配置 | 撞く前の予想成功率(%) | 実際の成功数(/20) | 実際の成功率(%) | 差(ポイント) | 主な外れ方向(カット/スロー) |
|---|---|---|---|---|---|
| 接触コンビ(隙間なし) | |||||
| 隙間約1cm・一直線 | |||||
| 隙間10cm | |||||
| 隙間30cm・角度30° | |||||
| 角度45° |
- 差(ポイント)は「実際の成功率−予想成功率」で出します。
- 差が±20ポイントを超えた配置は、「実戦で狙わないリスト」に入れます。
- リストに入れた配置は、撞き直して差が縮むまで、判定チャートのQ4を「いいえ」として扱います。
ケース別の対処:ナインボールのコンビネーション
ナインボールの9番コンビで勝ちになる条件
配置別の対処
| 配置 | おすすめの判断 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 9番と第1的球がくっついている | 向きがポケットに合うなら撞く | スローで第1的球の進む向きへずれることがある。一直線かを丁寧に確かめる |
| 隙間6〜13mmで一直線 | 積極的に撞く | 3/4より厚い当たりならどの速さでも入る(Dr. Dave) |
| 球間10〜30cm | 判定チャートのQ3〜Q5で決める | 計算例②では、1°のズレで約1〜8cmずれる |
| 球間30cm超、または角度が大きい | セーフティ兼用で撞くか、セーフティを選ぶ | 計算例②では、1°でも仮定した許容幅を超えやすい |
2026年のルール改定とコンビの関係
コンビの当て順や9番の扱いは、これらの改定で変わったとは報じられていません。ただ、大会やお店によって採用しているルールの版が違うことがあります。撞く前に確認しておきましょう。
予防・再発防止のコツ:段階練習と記録
段階練習の順番
- 接触コンビ(ストレート):第2的球がポケットへ一直線の配置で、厚みの基準を作ります。
- 隙間約1cm・一直線:3/4より厚い当たりを意識します。
- 隙間10cm・一直線:第1的球の厚みを正確に取る練習です。
- 隙間10cm・角度付き:カット方向へのずれ方を観察します。
- 隙間30cm・角度30°〜45°:入る確率と外れ方を記録します。
記録を判断に戻す
専門家・公的情報の見解
物理の見解:隙間9.5mmが特別な理由
Dr. Dave Pool Info(David Alciatore, PhD)の要旨:球間の隙間が3/8インチ(約9.5mm)だと、スローの効果がカットの効果を打ち消し、第2的球はほぼ真っすぐ進む。隙間がそれより大きいと、スピードに関係なくカット方向へずれる。
ルールの見解:9番コンビの扱い
WPA公式ルール(2025年9月15日発効版)の要旨:9番を合法に入れれば勝ち(プッシュアウトを除く、5.5)。ファウルやプッシュアウトで入った9番はスポットに戻される(5.6)。
- Dr. Dave Pool Info「Small-Gap Combination Shots」(Billiards Digest 2018年8月号の記事がもと) https://drdavepoolinfo.com/faq/combination/small-gap/
- WPA Rules of Play(2025年9月15日発効)3.1・3.2・3.3・3.6・5.5・5.6・5.7 https://www.wpapool.com/wp-content/uploads/2026/01/2026.01.02-WPA-Rules.pdf
- Web CUE'S「ナインボールのルール」 https://www.billiards-cues.jp/rule/nine/
- ビリヤードキューズ.jp トピックス(2026年3月24日) https://www.billiards-cues.jp/topics/20260324/
- JPBA お知らせ(2026年6月8日) https://jpba.ne.jp/wp/info/info-24912/
- 富山ビリヤード体験スクール「ビリヤードのコンビ(コンビネーションショット)の打ち方」(2025年11月) https://junichibilliards.com/20251129-2/
やってはいけないNG対応
| NG対応 | なぜダメか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 遠いコンビを強打で狙う | 角度のズレが広がり、手球の行き先も読めない | 近い配置に絞り、ミディアムで撞く |
| 最小番号の球を確かめずに撞く | 先に別の球へ当たるとファウル(WPA 3.2)。落ちた9番も戻る | 撞く前に台全体の最小番号を確認する |
| 外したあとの配置を考えない | 相手に簡単な配置を渡しやすい | 判定チャートのQ5で確かめる |
| 隙間が広いのに真っすぐ狙う | スピードに関係なくカット方向へずれる(Dr. Dave) | 狙いを補正するか、撞かない |
| くっついているかを自分で球に触って確かめる | 通常の球同士の接触以外で的球に触れたり動かしたりするとファウル(WPA 3.6) | 相手や審判に見てもらう |
9番コンビの勝ち負けは、ハウスルールや「ジャパン」「5-9」など得点制のローカルルールで扱いが変わることがあります。知らないルールで撞くときは、始める前に確認してください。
まとめ:次の練習で試すこと
よくある質問
ナインボールで9番をコンビで落としたら勝ちですか?
コンビネーションは何cmまでなら狙っていいですか?
ビリヤードのコンビは強く撞いたほうが入りますか?
コンビの練習は何回くらい撞けばいいですか?
ハウスルールやローカルルールでは、9番の扱いが違う場合があります。迷ったら、お店のスタッフや一緒に撞く人に確認してみてください。




