まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- ブレイクの結果によって、誰がプッシュアウトを使えるか
- WPA・JPBA・JPAリーグ・お店のルールの違い
- 押す側がどこへ押すかの目安
- 受ける側が撞くかパスかを決める目安
ナインボールのプッシュアウトとは?結論と定義
ビリヤードのプッシュアウトで外れる決まりは2つ
ブレイクでファウルがなければ、撞く人はプッシュアウトを選べる。その意思をレフェリーに伝えると、3.2(最小番号の球に最初に当てる)と3.3(当てた後のクッション)の規定が、そのショットに限って適用されない。
『1試合1回』ではなく『1ラック1回』
仕組みをもう少し詳しく:ナインボールのルールとブレイク後の分岐

ナインボールのルールの基本
ブレイク結果ごとの分岐図
プッシュアウトの後に起きること
補足
スポットとは、ラックを組むときに先頭の球を置く位置です。そこに他の球があって置けないときの扱いは、ルールの条文で確認してください。
なぜプッシュアウトが重要なのか・背景
種類・分類:WPA・JPBA・WNT・JPAリーグ・ハウスルールの違い
| ルール | プッシュアウトの有無 | 使える回数 | 外れるファウル | それでもファウルになる行為 | 9番が落ちたとき | スリーファウルと警告 | 持ち時間 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| WPA(世界) | あり(標準) | 1ラック1回・ブレイク直後 | 3.2 最小番号に最初に当てる/3.3 当てた後のクッション | 上の2つ以外のファウル(スクラッチなど) | スポットに戻す・勝ちにならない | 同じラックで3回連続なら負け。2回目で警告が必要 | 大会要項・店に確認 | WPA Rules of Play 3.13・5.4〜5.6・5.8(2025) |
| JPBA(日本プロ) | 採用する場合がある(任意) | 正常なブレイクの後に1回 | 当て順・クッションの決まり | スクラッチ・二度撞き・球触りの3つ | フットスポットに戻す | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | JPBA競技規則 第5条(2017年版) |
| WNT(Matchroom) | あり(プッシュアウト後の持ち時間の規定がある) | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 1打30秒。延長30秒は1ラック1回。ブレイク後とプッシュアウト後の1打は60秒 | World Nineball Tour Event Rules(2024) |
| JPAリーグ(国内アマ) | なし | ー | ー | ー | 大会要項・店に確認(得点は9番が2点) | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 専門店サイトの解説(二次情報) |
| ビリヤード場のハウスルール | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 大会要項・店に確認 | 店の掲示・スタッフ |
確認するときの質問例
- 『プッシュアウトはありですか?』
- 『ブレイクで球が入らなかったら、相手がプッシュアウトできますか?』
- 『スリーファウルはありですか? 2回目のときに声をかけますか?』
- 『プッシュアウトで9番が落ちたら、スポットに戻すのでいいですか?』
注意
お店で知らない人と撞くときは、ルールを決めないまま始めるともめる原因になります。最初に確認するのがマナーです。
プッシュアウトのメリットを詳しく
ファウルの危険を避けられる
得意と苦手の差で勝負できる
次のショットを考える時間がある
デメリット・注意点:スリーファウルやパスの落とし穴
プッシュアウトでもファウルになる行為
- スクラッチ:手球がポケットに落ちる
- 二度撞き:1回のストロークで手球に2回触れる
- 球触り:手やキュー、服などが球に触れる
スリーファウル(ビリヤード)とプッシュアウトの関係
プッシュアウトのパスで自分が撞くことになる
注意
宣言を忘れて撞くと、普通のショットとして判定されます。当て順の反則を取られるので、撞く前にはっきり言いましょう。
具体例・ケースで理解する:撞くかパスかを計算で決める
計算の考え方
- A = 押した側が、その配置から撞いたときの成功率
- B = 受ける側が、その配置から撞いたときの成功率
- 撞く場合:B
- パスした場合:押した側が失敗する確率なので 100%−A
計算例3パターン
| ケース | 押す側A | 受ける側B | 受ける側が撞く(B) | パス(100%−A) | 受ける側の選択 | 押す側の取り分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ジャンプが必要 | 60% | 30% | 30% | 40% | パス | 60% |
| 両者とも苦手なバンク | 40% | 40% | 40% | 60% | パス | 40% |
| ロングの薄いカット | 70% | 60% | 60% | 30% | 撞く | 40% |
- ジャンプ:相手は撞いても30%なので、パスします。自分が撞いて60%です。どちらを選ばれても、押した側が有利になる配置です。
- バンク(クッションに当てて入れるショット):ふたりとも苦手だと、パスされて自分が40%の球を撞くことになります。五分五分の難しい球は、押した側が損をします。
- ロングの薄いカット:自分は70%で入れられても、相手が60%で入れられるなら撞かれてしまいます。相手が撞ける球は、自分が得意でも渡さないほうがよいのです。
補足
この計算では、失敗した後の配置、セーフティ(相手に難しい球を残す守りのショット)を選ぶこと、緊張の影響は考えていません。成功率は練習の記録から自分で見積もってください。
始め方・使い方:押す側と受ける側の手順
押す側の手順
- ブレイクの結果を見て、自分がプッシュアウトを使えるか確認する(分岐図の②〜④)
- 相手かレフェリーに『プッシュアウトします』と、はっきり伝える
- 押す場所を決める。手球を隠すより、『見えるけれど遠い』『ブリッジ(キューを支える手の形)が組みにくい』位置が効果的です
- スクラッチしない強さで、静かに撞く
- 撞いた後、相手が撞くかパスかを言うまで待つ
受ける側の手順
- 1番が見えるか、どんなショットが必要かを確認する
- 入れて次の球へ出せるか、相手よりよいセーフティが撞けるなら『撞きます』と伝える
- ふたりとも嫌な配置なら『パスします』と伝える
- ジャンプを誘う配置で自分がジャンプを苦手なら、キック(クッションに当ててから的球に当てるショット)で当てる方法も検討する
押す前のチェックリスト
- ① 撞く前に宣言したか
- ② スクラッチの危険はないか
- ③ 次の2番へ手球を出せるか
- ④ 相手の得意な球を残していないか
- ⑤ キックで簡単に当てられる配置ではないか
似た用語との違い:セーフティ・ファウル・テンボールのプッシュアウト
| 用語 | 当て順の決まり | 使えるとき | 次に撞く人 |
|---|---|---|---|
| プッシュアウト | 外れる(3.2・3.3) | ブレイク直後の1打だけ | 相手が選ぶ |
| セーフティ | 守る | いつでも | 相手 |
| ファウル後の手球フリー | 守る | 相手がファウルした後 | 手球フリーをもらった人 |
| テンボールのプッシュアウト | WPA 6.4で別に規定 | 条文で確認 | 条文で確認 |
補足
テンボールのプッシュアウトは、WPAではナインボールとは別の条文(6.4)で定められています。細かな扱いは条文で確認してください。
まとめ:プッシュアウトを試合で使う前にやること
よくある質問
プッシュアウトは1試合に何回使えますか?
プッシュアウトでパスされたらどうなりますか?
プッシュアウトで9番が入ったら勝ちですか?
スリーファウルとは? プッシュアウトは数えますか?
お店で遊ぶときもプッシュアウトはありますか?
注意
ルールは改訂されることがあります。大会に出るときは、その大会の要項と最新の条文で確認してください。




