ビリヤードの用語は何から覚えるべきか?
初日に必要な6語だけを先に押さえる
- ハウスキュー:店の備品キュー。受付で「ハウスキューをお願いします」と言えば借りられます
- ラック:球を並べる三角形の枠。または「並べる」という動作そのもの
- チョーク:キュー先端に塗る滑り止め。撞く前に毎回塗るのが基本
- ブレイク:最初の一撃。並んだ球を崩すショット
- ファウル:反則。相手に有利な状態を渡すことになります
- イニング:自分の攻撃ターン。ミスすると相手のイニングに移ります
検索しても出てこない語は「俗語」と割り切る
俗語には「その店だけ」の言い回しも混ざります。他店で通じなくても不思議ではないので、公式表記を軸に覚えるほうが応用が利きます。
なぜ五十音順の用語集では覚えられないのか?

欠陥1:耳で聞いた音から引けない
欠陥2:同義語がバラバラの項目に散る
欠陥3:遭遇する順番と並び順が一致しない
用語集を頭から暗記しようとすると、使わない語に時間を取られて挫折します。時系列で必要な語から押さえてください。
入店から退店まで:時系列の用語チェックリスト
フェーズ①受付・フェーズ②準備
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ①受付 | ハウスキュー | 店の備品キュー | ★★★ | 可(壁のキューを指差す) |
| ①受付 | マイキュー | 自分専用のキュー | ★★ | 可 |
| ①受付 | 時間制/セット料金 | 時間課金か1ゲーム課金か | ★★★ | 不可(要確認) |
| ①受付 | タイム/延長 | 終了時刻の申告・延長 | ★★ | 不可 |
| ②準備 | ラック | 球を並べる三角枠 | ★★★ | 可 |
| ②準備 | ラックシート | ラックの下に敷くシート | ★ | 可 |
| ②準備 | チョーク | タップの滑り止め | ★★★ | 可 |
| ②準備 | グローブ | ブリッジ手に着ける手袋 | ★ | 可 |
| ②準備 | タップ | キュー先端の革部分 | ★★ | 可 |
| ②準備 | ブリッジ/レスト | 手の届かない位置用の補助具 | ★★ | 可(手を伸ばす仕草) |
フェーズ③開始・フェーズ④ショット中
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ③開始 | バンキング | 先攻を決める手球の撞き合い | ★★★ | 一部可 |
| ③開始 | ブレイク | 最初の一撃 | ★★★ | 可 |
| ③開始 | ヘッドストリング | 手球を置ける手前のライン | ★★ | 可 |
| ③開始 | フットスポット | 先頭球を置く点 | ★★ | 可 |
| ③開始 | コール | 落とす球とポケットの宣言 | ★★★ | 不可(口頭必須) |
| ③開始 | ハウスルール/持ち球制 | その店独自の取り決め | ★★★ | 不可 |
| ④ショット中 | フリ/厚み | 手球と的球の当たり角度 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | ヒネリ | 手球の左右を撞く技術 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | 押し/引き | 撞点の上下による手球制御 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | キック/バンク | クッションを使うショット | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | コンビネーション | 的球同士を当てて落とす | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | セーフティ | 守備目的のショット | ★★ | 一部不可 |
| ④ショット中 | イニング | 自分の攻撃ターン | ★★★ | 可 |
フェーズ⑤トラブル時・フェーズ⑥終了後
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ⑤トラブル | ファウル | 反則全般 | ★★★ | 可(手を挙げる) |
| ⑤トラブル | スクラッチ | 手球をポケットに落とす反則 | ★★★ | 可 |
| ⑤トラブル | リク(二度撞き) | タップが手球に2回触れる反則 | ★★ | 不可 |
| ⑤トラブル | 場外 | 球が台の外へ飛び出す | ★★ | 可 |
| ⑤トラブル | ノータッチ | 的球にもクッションにも当たらない反則 | ★★ | 不可 |
| ⑤トラブル | ボールインハンド | 手球を好きな場所に置ける権利 | ★★★ | 一部可 |
| ⑤トラブル | フリーボール | 一定条件下で得る特殊な権利 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | マスワリ | ブレイクから一人で全球を落とす | ★★ | 不可 |
| ⑥終了後 | ハイラン | 連続で決めた最高球数 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | A級/B級/C級 | 実力の級位区分 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | ハウストーナメント | 店主催の小規模大会 | ★ | 不可 |
俗称・カタカナ・NBA公式・英語の4列対訳表
道具とゲーム進行の対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 白玉 | キューボール | 手球 | cue ball | 「手球」を「てきゅう」と読む人も多い |
| まとだま/てきゅう | オブジェクトボール | 的球 | object ball | 「的球」の読みは店により揺れる |
| 突き出し | オープニングショット | ブレイクショット | break shot | 3語すべて同じ意味 |
| 棒撞き | ー | ー(現場語) | ー | ヒネリを使わない撞き方の俗称 |
| 台 | テーブル | ビリヤードテーブル | table | 「9フィート台」は規格呼称 |
| クッション | レール | クッション | rail / cushion | 英語のrailは枠、cushionはゴム部 |
| 穴 | ポケット | ポケット | コーナーとサイドで寸法が違う | |
| 順番 | ターン | イニング | inning | 交代制の1単位 |
| バンキング | ー | バンキング | lag | 英語はlagで、bankingではない |
| ハウスキュー | ー | ー | house cue | 店の備品 |
| マイキュー | ー | ー | personal cue | 和製英語に近い表現 |
| ビリヤード場 | ビリヤードホール | ー | pool hall / billiard hall | 店を指すならpool hallが無難 |
「ビリヤード場」を英語で言うならpool hallかbilliard hallです。英語版Wikipediaの「Billiard hall」は、pool hall・snooker hall・pool room・pool parlourを同じ施設を指す別名として挙げています。一方「Billiard room」は家や娯楽施設の中の遊戯室を指すのが第一義で、公共の台を置く店の意味でも使われるため紛らわしい語です。海外で店を探すときはpool hallで検索するのが確実です。出典:Billiard hall - Wikipedia / Billiard room - Wikipedia
ショット技術の対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 押し | フォロー/トップ | 押し球 | follow | 撞点は手球の上部 |
| 引き | ドロー | 引き球 | draw | 撞点は手球の下部 |
| ヒネリ | イングリッシュ/サイド | ひねり | english (side) | 英米で呼称が異なる |
| フリ/厚み | カットアングル | ー(現場語) | cut angle | 「厚い/薄い」は当たり方の表現 |
| ドスン | ー | ー | ー | 力任せのショットの俗称 |
| 乗っける | ー | ー(現場語) | ー | 相手を困らせる位置に置く意 |
| クッション出し | キックショット | キックショット | kick shot | 先にクッションへ当てる |
| 腹切りバンク | ー | バンクショット | bank shot | 的球をクッションで返す |
| 枡割 | マスワリ | ブレイクからのランアウト | break and run | 語源は下記コラム参照 |
ファウル・権利まわりの対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| リク | ダブルヒット | 二度撞きのファウル | double hit | 至近距離で起こりやすい |
| ノータッチ | ー(和製) | ノーコンタクトのファウル | no rail / no contact foul | クッション不足も含む |
| スクラッチ | ー | スクラッチ | scratch | 手球のポケットイン |
| フリーボール | ー | フリーボール | ball in hand(条件付) | ボールインハンドとは別概念 |
| 好きなとこ置き | ボールインハンド | ボールインハンド | ball in hand | 台上どこでも置ける |
| 逃げ | セーフティ | セーフティ | safety | ※2026年6月改定に影響あり |
| 押し出し | プッシュアウト | プッシュアウト | push out | ブレイク直後の特殊権利 |
| ハンデライン | ヘッドストリング | ヘッドストリング | head string | 手球設置可能エリアの境界 |
| 頂点 | フットスポット | フットスポット | foot spot | 先頭球を置く位置 |
「マスワリ」の語源について、Web CUE'Sのビリヤード用語集は複数の証言をもとに、昭和20年頃の日本でラックを『枡』、ブレイクを『割り』と呼んでいたことに由来すると結論づけています。英語のbreak and runとは成り立ちがまったく違います。
「セーフティ」と「スリーポイントルール」は、2026年6月のNBA競技規定改定で運用が変わりました。詳細は後述します。古い用語集の説明をそのまま信じると、大会でトラブルになる可能性があります。
用語が指す実物のスペックは何ミリなのか?
| 用語 | 店での通称 | NBA公式規定値 | この数値が効いてくる理由 |
|---|---|---|---|
| ビリヤードテーブル | 9フィート台 | クッション内径2540mm×1270mm(第2章第1条第2項) | 縦横比は正確に2:1。手球が半面を移動する距離感の基準になる |
| テーブル高さ | ー | 床面から750〜800mm(同第3項) | 身長との関係でブリッジの安定性が変わる |
| クッション | ー | ゴム高35.5〜37mm(同第5項) | 球の直径の約6割の高さ。手球のどこに当たるかが決まる |
| ボール | 玉 | 直径56.5〜57.3mm、重量160〜170g(第2章第2条) | タップ14mmで撞ける範囲は球の直径の約4分の1 |
| コーナーポケット | 角 | 開口部110〜130mm(第2章第1条第7項) | 球約2個分。110mm寄りが「辛い」、130mm寄りが「甘い」 |
| サイドポケット | サイド | 開口部130〜145mm(同第7項) | コーナーより広い。角度がつくと難度は逆転する |
| キュー | 棒 | 長さ1016mm(40インチ)以上、重さ708.7g(25オンス)以下(第2章第3条第1項) | 規定は下限と上限のみ。ハウスキューは19オンス前後が標準 |
| タップ | 先角の革 | 直径14mm以下(手球を傷める素材は不可)(第2章第3条) | 上限が14mm。シャフト径11〜12mmが主流なのはこのため |
| メカニカルブリッジ | レスト | ヘッド部最大80mm×130mm、厚み10mmまで(第2章第4条) | 規格外の自作品は公式戦で使えない |
「ポケットが辛い」の正体は20mmの差
キューの規定は驚くほど緩い
2026年6月のルール改定で意味が変わった用語
変更点①:テンボールのセーフティコール廃止
変更点②:スリーポイントルールの判定基準
変更点③:レフリー規定とファウル判定
- ファウル以外でボールが動いた場合は、可能な限り元の位置に復元する
- ファウルによって動いた的球は戻さない
- プレーヤーが誤って的球を手に持った場合はファウルかつポケットイン扱いとする
- 計測時にテーブル上へ置いたキューから手を離してもファウルとしない
適用開始時期は各団体の判断に委ねられています。参加する大会やハウストーナメントのルールが改定版に準拠しているかは、事前に主催者へ確認してください。
かっこいいビリヤード用語と、その正しい使いどころ
実力を示す称号系の用語
- マスワリ:ブレイクから1人で全球を落とし切ること。英語のbreak and runに相当します。日本独自の語で、昭和20年頃の「枡割」が語源とされます
- ハイラン:連続で決めた最高球数。「ハイラン5」のように使います
- A級/B級/C級:実力の級位区分。基準は団体や店により異なります
技術系のかっこいい用語
- ジャンプショット:手球を跳ばして障害球を越えるショット。専用キューを使うのが一般的です
- マッセ:キューを立てて撞き、手球を大きく曲げるショット。ラシャ(布)を傷めるため禁止の店もあります
- キックショット:先にクッションへ当ててから的球を狙うショット
- コンビネーション:的球同士を連鎖させて落とすショット
マッセとジャンプショットは、店によって明確に禁止されています。ラシャの張り替えは高額な修繕になるため、実行前に必ず店員へ確認してください。知らずに撞いて弁償を求められるケースは実在します。
世代語・地域俗語は無理に使わない
ビリヤードを続ける人はどれくらいいるのか
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 年間参加人口(2024年) | 約210万人(前年比+約60万人) |
| 参加率 | 2.2% |
| 年間平均活動回数 | 8.3回 |
| 年間平均費用(プレーフィーのみ) | 24,800円 |
| 1回あたり平均費用 | 約2,990円 |
国際大会の用語も流入している
ビリヤードデイズの報道(2025年12月)では、2026年のPBS(プロツアー)が全8戦に拡大し、年間総賞金約5億6千万円、チーム10ボール世界選手権の復活が発表されています。




