ビリヤード場で飛び交う言葉が分からず、置いていかれた気分になっていませんか。用語は五十音順で暗記するのではなく、「使う順番」で覚えるのが最短ルートです。
結論から言えば、初日に必要な用語は10語程度しかありません。受付でハウスキューを借り、ラックとチョークを使い、バンキングでブレイクを決め、ファウルとイニングの意味が分かれば、その日のゲームは成立します。残りは3回目までに少しずつ足していけば十分です。
この記事では、上位の用語集サイトが採用している五十音順の一覧をあえて捨てました。理由は単純で、読み方の分からない言葉は五十音順では引けないからです。代わりに、入店から退店までの6フェーズで用語を並べ、店で耳にする俗称・雑誌のカタカナ表記・NBAルールブックの正式表記・英語の正式名を4列で突き合わせます。さらに「9フィート台」「タップ14mm」が具体的に何ミリの話なのか、公式規定の数値まで示します。2026年6月のNBA競技規定改定で意味が変わった用語にも触れます。
覚える順番は「受付→準備→開始→ショット中→トラブル→終了」の6フェーズ。この順に並んだ一覧は他サイトにほぼ存在せず、実際に困る順番と一致します。
ビリヤードの用語は何から覚えるべきか?
最初に覚えるべきはハウスキュー・ラック・チョーク・ブレイク・ファウル・イニングの6語です。この6語が分かれば、初日のゲームは会話に詰まることなく進行できます。
用語集サイトを開くと数百語が並んでいて、どこから手を付ければいいのか分からなくなります。しかし実際のビリヤード場で、初回に理解していないと困る言葉はごく限られています。逆に言えば、有名な「マスワリ」や「ヒネリ」は初日には一切不要です。
初日に必要な6語だけを先に押さえる
初日は「借りる・並べる・撞く・反則」の4動作に対応する語だけで足ります。
- ハウスキュー:店の備品キュー。受付で「ハウスキューをお願いします」と言えば借りられます
- ラック:球を並べる三角形の枠。または「並べる」という動作そのもの
- チョーク:キュー先端に塗る滑り止め。撞く前に毎回塗るのが基本
- ブレイク:最初の一撃。並んだ球を崩すショット
- ファウル:反則。相手に有利な状態を渡すことになります
- イニング:自分の攻撃ターン。ミスすると相手のイニングに移ります
この6語以外は、その場で「それ何ですか」と聞いて構いません。ビリヤード場は初心者に対して比較的寛容な場所で、用語を尋ねることは失礼にあたりません。
検索しても出てこない語は「俗語」と割り切る
店で聞こえた言葉を検索しても出てこないなら、それは業界の俗語である可能性が高いです。
「やたけた(でたらめな撞き方)」「かにここ(ここに置け、の転訛)」「腹切りバンク」「乗っける(球を落とし穴の近くに寄せる)」といった語は、掲載サイトが極端に限られます。地域や世代で使われ方も違うため、無理に覚える必要はありません。聞き慣れない言葉が出たら、正式表記に置き換えて理解するのが正解です。
俗語には「その店だけ」の言い回しも混ざります。他店で通じなくても不思議ではないので、公式表記を軸に覚えるほうが応用が利きます。
なぜ五十音順の用語集では覚えられないのか?

五十音順の一覧は「読み方を既に知っている人」しか使えない構造だからです。初心者が耳で聞いた音と、辞書の見出し語が一致しないケースが多発します。
上位に並ぶ用語集サイトを実際に確認すると、あ行〜わ行のアンカーリンクで飛ばす形式がほとんどです。この形式には3つの構造的な欠陥があります。
欠陥1:耳で聞いた音から引けない
初心者が最初にぶつかるのは「音は聞こえたが字が分からない」状況です。
「テキュウ」と聞こえた語が「的球」なのか、「マトダマ」と読むのか判断できません。「リク」と言われても、それが二度撞きのファウルを指すとは想像もつきません。五十音順の辞書は、正しい読みを知らないと入口にすら立てない設計になっています。
欠陥2:同義語がバラバラの項目に散る
同じものを指す言葉が別の行に分かれて掲載されるため、対応関係が見えません。
手球・キューボール・白玉はすべて同一の白い球です。しかし五十音順では「て」「き」「し」の3か所に分散します。押し球とフォローとトップも同様です。初心者は「別々の技術がある」と誤解しかねません。どれが公式表記でどれが店の俗称なのかを整理した表が、既存サイトには見当たりません。
欠陥3:遭遇する順番と並び順が一致しない
実際に用語に出会う順番は時系列です。受付→準備→ブレイク→ショット中→トラブル→終了という流れがあります。
ところが五十音順では、受付で使う「ハウスキュー」と、上級者の称号である「A級」が隣り合って並びます。初心者にとって優先度がまったく違う語が同列に置かれるため、どこから覚えればいいのか判断できません。
用語集を頭から暗記しようとすると、使わない語に時間を取られて挫折します。時系列で必要な語から押さえてください。
入店から退店まで:時系列の用語チェックリスト
ビリヤード場での行動は6フェーズに分かれ、各フェーズで必要な用語は5〜10語程度です。優先度を★で示したので、★★★から順に覚えてください。
以下は「初日に必要(★★★)/3回目までに(★★)/覚えなくていい(★)」の3段階で整理したチェックリストです。ジェスチャーで代替できるかも付記しました。
フェーズ①受付・フェーズ②準備
受付と準備で使う語は、言えなくても指差しで通じるものが大半です。
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ①受付 | ハウスキュー | 店の備品キュー | ★★★ | 可(壁のキューを指差す) |
| ①受付 | マイキュー | 自分専用のキュー | ★★ | 可 |
| ①受付 | 時間制/セット料金 | 時間課金か1ゲーム課金か | ★★★ | 不可(要確認) |
| ①受付 | タイム/延長 | 終了時刻の申告・延長 | ★★ | 不可 |
| ②準備 | ラック | 球を並べる三角枠 | ★★★ | 可 |
| ②準備 | ラックシート | ラックの下に敷くシート | ★ | 可 |
| ②準備 | チョーク | タップの滑り止め | ★★★ | 可 |
| ②準備 | グローブ | ブリッジ手に着ける手袋 | ★ | 可 |
| ②準備 | タップ | キュー先端の革部分 | ★★ | 可 |
| ②準備 | ブリッジ/レスト | 手の届かない位置用の補助具 | ★★ | 可(手を伸ばす仕草) |
フェーズ③開始・フェーズ④ショット中
ゲームが始まると、言葉でしか伝えられない場面が増えます。特にコール(宣言)は口頭が必須です。
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ③開始 | バンキング | 先攻を決める手球の撞き合い | ★★★ | 一部可 |
| ③開始 | ブレイク | 最初の一撃 | ★★★ | 可 |
| ③開始 | ヘッドストリング | 手球を置ける手前のライン | ★★ | 可 |
| ③開始 | フットスポット | 先頭球を置く点 | ★★ | 可 |
| ③開始 | コール | 落とす球とポケットの宣言 | ★★★ | 不可(口頭必須) |
| ③開始 | ハウスルール/持ち球制 | その店独自の取り決め | ★★★ | 不可 |
| ④ショット中 | フリ/厚み | 手球と的球の当たり角度 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | ヒネリ | 手球の左右を撞く技術 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | 押し/引き | 撞点の上下による手球制御 | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | キック/バンク | クッションを使うショット | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | コンビネーション | 的球同士を当てて落とす | ★★ | 可 |
| ④ショット中 | セーフティ | 守備目的のショット | ★★ | 一部不可 |
| ④ショット中 | イニング | 自分の攻撃ターン | ★★★ | 可 |
フェーズ⑤トラブル時・フェーズ⑥終了後
トラブル時の語は、知らないと不利益を被る可能性があります。優先度は高めです。
| フェーズ | 用語 | 意味 | 優先度 | ジェスチャー代替 |
|---|---|---|---|---|
| ⑤トラブル | ファウル | 反則全般 | ★★★ | 可(手を挙げる) |
| ⑤トラブル | スクラッチ | 手球をポケットに落とす反則 | ★★★ | 可 |
| ⑤トラブル | リク(二度撞き) | タップが手球に2回触れる反則 | ★★ | 不可 |
| ⑤トラブル | 場外 | 球が台の外へ飛び出す | ★★ | 可 |
| ⑤トラブル | ノータッチ | 的球にもクッションにも当たらない反則 | ★★ | 不可 |
| ⑤トラブル | ボールインハンド | 手球を好きな場所に置ける権利 | ★★★ | 一部可 |
| ⑤トラブル | フリーボール | 一定条件下で得る特殊な権利 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | マスワリ | ブレイクから一人で全球を落とす | ★★ | 不可 |
| ⑥終了後 | ハイラン | 連続で決めた最高球数 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | A級/B級/C級 | 実力の級位区分 | ★ | 不可 |
| ⑥終了後 | ハウストーナメント | 店主催の小規模大会 | ★ | 不可 |
★★★は合計11語です。この11語だけ覚えれば、初日のプレーで言葉に困る場面はほぼなくなります。
俗称・カタカナ・NBA公式・英語の4列対訳表
同じものを指す言葉が最大4通り存在します。店の俗称、雑誌のカタカナ表記、NBAルールブックの正式表記、WPA規則の英語表記を突き合わせると、混乱の大半は解消します。
公益社団法人日本ビリヤード協会のNBAルールブック(ポケットビリヤード競技規定)2025年9月改訂版と、World Pool-Billiard Association(WPA)のRules & Regulations(2025年9月15日発効版)を基準に整理しました。
道具とゲーム進行の対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 白玉 | キューボール | 手球 | cue ball | 「手球」を「てきゅう」と読む人も多い |
| まとだま/てきゅう | オブジェクトボール | 的球 | object ball | 「的球」の読みは店により揺れる |
| 突き出し | オープニングショット | ブレイクショット | break shot | 3語すべて同じ意味 |
| 棒撞き | ー | ー(現場語) | ー | ヒネリを使わない撞き方の俗称 |
| 台 | テーブル | ビリヤードテーブル | table | 「9フィート台」は規格呼称 |
| クッション | レール | クッション | rail / cushion | 英語のrailは枠、cushionはゴム部 |
| 穴 | ポケット | ポケット | コーナーとサイドで寸法が違う | |
| 順番 | ターン | イニング | inning | 交代制の1単位 |
| バンキング | ー | バンキング | lag | 英語はlagで、bankingではない |
| ハウスキュー | ー | ー | house cue | 店の備品 |
| マイキュー | ー | ー | personal cue | 和製英語に近い表現 |
ショット技術の対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 押し | フォロー/トップ | 押し球 | follow | 撞点は手球の上部 |
| 引き | ドロー | 引き球 | draw | 撞点は手球の下部 |
| ヒネリ | イングリッシュ/サイド | ひねり | english (side) | 英米で呼称が異なる |
| フリ/厚み | カットアングル | ー(現場語) | cut angle | 「厚い/薄い」は当たり方の表現 |
| ドスン | ー | ー | ー | 力任せのショットの俗称 |
| 乗っける | ー | ー(現場語) | ー | 相手を困らせる位置に置く意 |
| クッション出し | キックショット | キックショット | kick shot | 先にクッションへ当てる |
| 腹切りバンク | ー | バンクショット | bank shot | 的球をクッションで返す |
| 枡割 | マスワリ | ブレイクからのランアウト | break and run | 語源は下記コラム参照 |
ファウル・権利まわりの対訳
| 店で耳にする言い方 | カタカナ表記 | NBA公式表記 | 英語(WPA) | 初心者が誤解しやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| リク | ダブルヒット | 二度撞きのファウル | double hit | 至近距離で起こりやすい |
| ノータッチ | ー(和製) | ノーコンタクトのファウル | no rail / no contact foul | クッション不足も含む |
| スクラッチ | ー | スクラッチ | scratch | 手球のポケットイン |
| フリーボール | ー | フリーボール | ball in hand(条件付) | ボールインハンドとは別概念 |
| 好きなとこ置き | ボールインハンド | ボールインハンド | ball in hand | 台上どこでも置ける |
| 逃げ | セーフティ | セーフティ | safety | ※2026年6月改定に影響あり |
| 押し出し | プッシュアウト | プッシュアウト | push out | ブレイク直後の特殊権利 |
| ハンデライン | ヘッドストリング | ヘッドストリング | head string | 手球設置可能エリアの境界 |
| 頂点 | フットスポット | フットスポット | foot spot | 先頭球を置く位置 |
「マスワリ」の語源について、Web CUE'Sのビリヤード用語集は複数の証言をもとに、昭和20年頃の日本でラックを『枡』、ブレイクを『割り』と呼んでいたことに由来すると結論づけています。英語のbreak and runとは成り立ちがまったく違います。
「セーフティ」と「スリーポイントルール」は、2026年6月のNBA競技規定改定で運用が変わりました。詳細は後述します。古い用語集の説明をそのまま信じると、大会でトラブルになる可能性があります。
用語が指す実物のスペックは何ミリなのか?
公式テーブルはクッション内径2540mm×1270mm、公式球は直径56.5〜57.3mm、タップは14mm以下と規定されています。数値を知ると、道具選びと台選びの判断が一気に具体的になります。
以下はすべて公益社団法人日本ビリヤード協会のNBAルールブック2025年9月改訂版に基づく数値です。「9フィート台」「ポケットが辛い」といった表現が、実際に何ミリの話なのかを示します。
| 用語 | 店での通称 | NBA公式規定値 | この数値が効いてくる理由 |
|---|---|---|---|
| ビリヤードテーブル | 9フィート台 | クッション内径2540mm×1270mm(第2章第1条第2項) | 縦横比は正確に2:1。手球が半面を移動する距離感の基準になる |
| テーブル高さ | ー | 床面から750〜800mm(同第3項) | 身長との関係でブリッジの安定性が変わる |
| クッション | ー | ゴム高35.5〜37mm(同第5項) | 球の直径の約6割の高さ。手球のどこに当たるかが決まる |
| ボール | 玉 | 直径56.5〜57.3mm、重量160〜170g(第2章第2条) | タップ14mmで撞ける範囲は球の直径の約4分の1 |
| コーナーポケット | 角 | 開口部110〜130mm(第2章第1条第7項) | 球約2個分。110mm寄りが「辛い」、130mm寄りが「甘い」 |
| サイドポケット | サイド | 開口部130〜145mm(同第7項) | コーナーより広い。角度がつくと難度は逆転する |
| キュー | 棒 | 長さ1016mm(40インチ)以上、重さ708.7g(25オンス)以下(第2章第3条第1項) | 規定は下限と上限のみ。ハウスキューは19オンス前後が標準 |
| タップ | 先角の革 | 直径14mm以下(手球を傷める素材は不可)(第2章第3条) | 上限が14mm。シャフト径11〜12mmが主流なのはこのため |
| メカニカルブリッジ | レスト | ヘッド部最大80mm×130mm、厚み10mmまで(第2章第4条) | 規格外の自作品は公式戦で使えない |
「ポケットが辛い」の正体は20mmの差
コーナーポケットの許容幅は110mmから130mmまでの20mmです。この差が体感難度を大きく左右します。
球の直径が約57mmですから、110mmのポケットは球2個分に約4mmの余裕しかありません。130mmなら約16mmの余裕があります。同じショットでも入る確率が変わるため、「あの店は辛い」という会話は感覚論ではなく実測差の話です。店選びの際は、ポケットの開口部を意識してみてください。
大会運営者の承認があれば異なるサイズも認められます(第2章第1条第7項)。公式戦だからといって全会場が同じ寸法とは限りません。
キューの規定は驚くほど緩い
NBAルールブックのキュー規定は、長さの下限と重さの上限しか定めていません。
1016mm以上、708.7g以下であれば、他の制限はありません。素材も形状も自由です。ハウスキューは19オンス(約539g)前後が標準ですから、規定上限の25オンスまでは相当な余裕があります。「規定に合う高価なキューを買わないと」という心配は不要です。
2026年6月のルール改定で意味が変わった用語
公益社団法人日本ビリヤード協会が2026年6月にポケットビリヤード競技規定を改定し、「セーフティ」と「スリーポイントルール」の運用が変わりました。既存の用語集はほぼ未反映です。
変更点①:テンボールのセーフティコール廃止
テンボールでの「セーフティコール」が廃止されました。
従来は守備目的のショットを事前に宣言する必要がありましたが、この宣言義務がなくなりました。用語としての「セーフティ」自体は残りますが、テンボールにおける競技上の手続きが変わった形です。
変更点②:スリーポイントルールの判定基準
ナインボールのスリーポイントルールで、判定基準が「的球の端」から「的球の中心」へ変更されました。
判定のわずかな違いに見えますが、ブレイクの評価が変わります。Web CUE'Sは2026年6月10日に、変更点を赤字で示した改定版全文を公開しています。
変更点③:レフリー規定とファウル判定
ボールが動いた場合の扱いが明文化されました。
- ファウル以外でボールが動いた場合は、可能な限り元の位置に復元する
- ファウルによって動いた的球は戻さない
- プレーヤーが誤って的球を手に持った場合はファウルかつポケットイン扱いとする
- 計測時にテーブル上へ置いたキューから手を離してもファウルとしない
適用開始時期は各団体の判断に委ねられています。参加する大会やハウストーナメントのルールが改定版に準拠しているかは、事前に主催者へ確認してください。
かっこいいビリヤード用語と、その正しい使いどころ
響きがかっこいい用語ほど、使いどころを外すと浮きます。意味と場面をセットで覚えるのが安全です。
実力を示す称号系の用語
称号系は自称せず、他者から言われるのを待つのが無難です。
- マスワリ:ブレイクから1人で全球を落とし切ること。英語のbreak and runに相当します。日本独自の語で、昭和20年頃の「枡割」が語源とされます
- ハイラン:連続で決めた最高球数。「ハイラン5」のように使います
- A級/B級/C級:実力の級位区分。基準は団体や店により異なります
技術系のかっこいい用語
技術名は、実際にその技術を使った場面でのみ口にするものです。
- ジャンプショット:手球を跳ばして障害球を越えるショット。専用キューを使うのが一般的です
- マッセ:キューを立てて撞き、手球を大きく曲げるショット。ラシャ(布)を傷めるため禁止の店もあります
- キックショット:先にクッションへ当ててから的球を狙うショット
- コンビネーション:的球同士を連鎖させて落とすショット
マッセとジャンプショットは、店によって明確に禁止されています。ラシャの張り替えは高額な修繕になるため、実行前に必ず店員へ確認してください。知らずに撞いて弁償を求められるケースは実在します。
世代語・地域俗語は無理に使わない
「やたけた」「かにここ」「腹切りバンク」といった語は、通じる範囲が限られます。
聞いて意味が分かれば十分で、自分から使う必要はありません。初心者が背伸びして俗語を使うと、意味を取り違えていた場合に会話が噛み合わなくなります。正式表記で話すほうが、どの店でも通じます。
ビリヤードを続ける人はどれくらいいるのか
2024年のビリヤード年間参加人口は約210万人で、前年から約60万人増加しました。参加率は2.2%まで回復しています。
公益財団法人日本生産性本部の『レジャー白書2025』(2025年10月刊)によると、2024年のビリヤード参加人口は約210万人でした。ビリヤードデイズの報道(2025年)でこの数値が紹介されています。同白書は余暇活動108種目の参加人口を毎年推計しており、ビリヤードもその1種目です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 年間参加人口(2024年) | 約210万人(前年比+約60万人) |
| 参加率 | 2.2% |
| 年間平均活動回数 | 8.3回 |
| 年間平均費用(プレーフィーのみ) | 24,800円 |
| 1回あたり平均費用 | 約2,990円 |
年8.3回、1回あたり約2,990円という数字は、月1回弱のペースで通う姿を示しています。用具代は含まれていないため、マイキューを買わなければこの範囲に収まる計算です。
国際大会の用語も流入している
新しい種目用語が日本語圏に入ってきています。
特定非営利活動法人日本ワールドゲームズ協会によると、2025年8月に開催されたワールドゲームズ2025成都大会では、プール種目としてヘイボール(チャイニーズエイトボール)が実施され、キャロム・スヌーカーと並ぶ正式種目となりました。「ヘイボール」「中式八球」「中式九球」という用語も併せて流入しています。Web CUE'Sによれば、WPAの2026年シーズン開幕戦もヘイボールで実施されました(2026年1月)。
ビリヤードデイズの報道(2025年12月)では、2026年のPBS(プロツアー)が全8戦に拡大し、年間総賞金約5億6千万円、チーム10ボール世界選手権の復活が発表されています。
やってはいけないNGな用語の使い方
用語を間違えて使うより、確認せずに撞くほうが問題になります。用語の誤用は笑い話で済みますが、ルール確認の怠りは金銭トラブルに発展します。
NG①:ハウスルールを確認せずに始める
店ごとの取り決めを確認しないまま始めるのは避けてください。
持ち球制の有無、ブレイクの扱い、マッセ・ジャンプショットの可否は店により異なります。「前の店ではこうだった」は通用しません。最初のゲーム前に一言確認するだけで、後のトラブルはほぼ防げます。
NG②:知ったかぶりでコールする
コール(宣言)を曖昧にしたまま撞くのは、揉める原因になります。
コールが必要なゲームでは、落とす球とポケットを明確に告げます。自信がなければ「これをこのポケットで」と指差しながら言えば十分です。宣言していない球が入っても得点にならないルールが一般的です。
NG③:古い用語集の説明を根拠にする
2026年6月の改定を反映していない情報を信じるのは危険です。
セーフティコールやスリーポイントルールの説明が古いままの記事は数多く残っています。大会に出る場合は、必ず日本ビリヤード協会の公式サイトで最新の競技規定を確認してください。
NG④:俗語をルール用語のように使う
「リク」「ノータッチ」などの俗語は、正式なファウル名ではありません。
相手が別の意味で理解している可能性があります。トラブル時こそ、「二度撞きだと思います」「クッションに当たっていません」と具体的に説明するほうが確実です。
用語の正確さより、確認する姿勢のほうが重要です。分からないことをその場で聞ける人は、上達も早くなります。
まとめ:時系列で覚えれば用語は怖くない
ビリヤード用語は数百語ありますが、初日に必要なのは11語です。五十音順の一覧を暗記するのではなく、受付→準備→開始→ショット中→トラブル→終了の6フェーズで押さえてください。
押さえるべき要点を整理します。
- 初日は★★★の11語だけ。ハウスキュー・ラック・チョーク・バンキング・ブレイク・コール・ハウスルール・イニング・ファウル・スクラッチ・ボールインハンド
- 同じものを指す言葉は最大4通り。俗称・カタカナ・NBA公式表記・英語を対で覚える
- 「9フィート台」は2540mm×1270mm、公式球は直径56.5〜57.3mm、タップは14mm以下(NBAルールブック2025年9月改訂版)
- 2026年6月の改定でセーフティコール廃止・スリーポイント判定基準変更。古い情報に注意
- 俗語は聞いて分かれば十分。自分からは正式表記で話す
次にビリヤード場へ行くときは、この記事のフェーズ別チェックリストをスマホで開いておいてください。用語が分かるだけで、ゲームの見え方が変わります。
よくある質問
ビリヤードの専門用語は全部でいくつ覚えればいいですか?
初日は11語、3か月続けても30語程度で十分です。用語集サイトには数百語が掲載されていますが、実際のプレー中に使われるのはごく一部です。まずは本記事のフェーズ別チェックリストで★★★を付けた11語から始めてください。★★の語は通ううちに自然に覚えます。
ビリヤード用語の英語表記はどこで確認できますか?
World Pool-Billiard Association(WPA)のRules & Regulations(2025年9月15日発効版)が公式の英語定義です。cue ball(手球)、object ball(的球)、break shot(ブレイクショット)、inning(イニング)などの定義がここに記載されています。なお、日本語で「バンキング」と呼ぶ先攻決めは英語ではlagで、bankingではありません。
「ヒネリ」と「イングリッシュ」と「サイド」は違う技術ですか?
すべて同じ技術を指す別名です。手球の左右を撞いて回転をかける技術で、日本では「ヒネリ」、雑誌では「イングリッシュ」、英国系では「サイド」と表記されます。NBAルールブックでは「ひねり」、WPA規則ではenglish(side)と記載されます。同様に、押し球=フォロー=トップ=follow、引き球=ドロー=drawも同一の技術です。
ビリヤードの用語で初心者が一番間違えやすいものは何ですか?
「フリーボール」と「ボールインハンド」の混同です。ボールインハンドは手球を台上の好きな場所に置ける権利で、相手のファウル後に発生します。フリーボールは一定条件下で得る別の権利で、置ける範囲や条件が異なります。トラブル時に権利を誤解すると不利になるため、この2語は区別して覚えてください。
ビリヤードを始めるのに1回いくらかかりますか?
『レジャー白書2025』(公益財団法人日本生産性本部、2025年10月刊)によると、2024年のビリヤード年間平均費用は24,800円、年間平均活動回数は8.3回でした。1回あたり約2,990円の計算です。これはプレーフィーのみで用具代を含みません。ハウスキューを借りれば初期費用はほぼゼロで始められます。
台の「ポケットが辛い」とはどういう意味ですか?
ポケットの開口部が狭く、球が入りにくい台を指します。NBAルールブック2025年9月改訂版(第2章第1条第7項)では、コーナーポケットの開口部を110〜130mmと規定しています。球の直径が約57mmですから、110mm寄りの台は球2個分に約4mmの余裕しかなく「辛い」、130mm寄りは約16mmの余裕があり「甘い」と表現されます。同じ実力でも成功率が変わるため、店選びの判断材料になります。




